蒼 穹

 06. 彼らは自ら、『ギャラクター』、と名乗りました

「諸君」、校長先生はそう切り出した。

 学校行事があれば姿を見せて、生徒たちが喜びそうな話題でたのしいスピーチをするので、生徒たちには人気があった。ジョージには、「校長先生の話なんてたまらん」と気の毒がる甚平がむしろ、よくわからないくらいだった。

 柔らかくうねる白髪、口ひげ、フチなしの眼鏡。教育者というより、学者のような風貌と風格でもって身振り手振り交えてダジャレを連発するのだから、その落差からして面白くないわけがなかった。さあ今日はどんな話だろう。校長先生は生徒たちの心をすっかり掴んでしまっていた。

「諸君。今日は少しばかりまじめな話題です。少しばかりまじめで、少しばかり退屈かもしれません。なのでもし、興味を覚えない、あるいは受け入れられないという人は、途中で退席して、かまいません。私は聴きたいという人にだけ、話します」

「さて。諸君が生まれる前の時代のことです。正確には二十年前。きみたちのお父さんお母さんがちょうど今の君たちくらいの年齢だったころ。よく聞いてください。その時、地球は異星人の侵略に遭ったのです」

 校長先生は言葉を切り、生徒たちの反応を見た。誰も口を開かない。どよめきも笑いも起こらない。ただ目を見開くばかりだ。

「それが異星人の侵略であったとわかったのは、最後の大事件がおさまったあとのことでしたが、それまでの数年間、まず、国際機関管理下にあったウランが乱暴にも強奪されるという事件が皮切りとなり、世界各地の地下資源、エネルギー源、その物的資源そのもの、あるいは研究中のデータが次々と狙われ、襲われたのです。襲撃は例外なく、非常に手荒に行われました。高度な科学技術と潤滑な資金源をもち、実際、国家組織の奥にまで手を延ばす、そのような秘密組織が存在したのです。彼らは自ら、『ギャラクター』、と名乗りました」




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