古生物

古生代


古生代・カンブリア紀
古生代の最初の時代、約5億4100万年前~約4億8540万年前がカンブリア紀です。
カンブリア紀の名前の由来は、この地層が調査されたイギリスのウェールズ地方に住んでいた「キムル族(ラテン語でカンブリア)」に由来して、カンブリア紀と呼ばれます。
食う食われるという食物連鎖が始まった時代で、多様な生物群が化石として残るようになった最初の時代です。

カンブリア紀に限らず、古生代の大陸配置は現在とは全然違います。現在の6大陸の大陸配置に近くなる(なんとなくどこの大陸だかわかるレベル)のは、中生代 白亜紀になってからです カンブリア紀には多くの大陸は南半球にかたよっていて、南極にも北極にも氷河はなく、地球全体が暖かでした。陸地にはまだ植物は上陸していません。生物はすべて海の中にいました。

カンブリア紀には初めて、硬い殻やトゲを持った生物、目を持った生物が現れ、食う食われるという食物連鎖が始まります。生物の種類が(化石記録として)爆発的に増えたように見えることから、この時代の生物の多様性は「カンブリア大爆発」と呼ばれます。
無脊椎動物のほとんどのグループがカンブリア紀末までに現れていて、無脊椎動物の中では特に、アノマロカリスや三葉虫などに代表される節足動物の仲間が大繁栄しました。カンブリア紀最大最強の捕食者、アノマロカリス。大きいもので体長1mほど。アノマロカリスの仲間はカンブリア紀に現れ、デボン紀に絶滅。

古生代・オルドビス紀
古生代の2番目に古い時代、約4億8540万年前~約4億4340万年前がオルドビス紀です。オルドビス紀という名前の由来は、この地層が調査されたイギリスのウェールズ地方に住んでいた「オルドバイス族」にちなんで、オルドビス紀と呼ばれます。

カンブリア紀に引き続き、多くの大陸は南半球にありました。南極には氷河がありましたが、冷たい水が回流することがない大陸配置だったので温暖でした。
陸には植物はなく荒涼としていましたが、海の中にはウミユリ、ウニ、ヒトデなどの仲間(棘皮動物:きょくひどうぶつ)、オウムガイや貝の仲間(軟体動物:なんたいどうぶつ)、三葉虫、ウミサソリ、カブトガニなどの節足動物が繁栄していました。
オルドビス紀に多様化したのが、オウムガイの仲間です。オウムガイは、カンブリア紀に現れオルドビス紀に多様化した生物で、古生代のうちにほとんどが絶滅
オルドビス紀末、古生代初の大規模な大量絶滅が発生します。「オルドビス紀末の大量絶滅」と呼ばれます。オルドビス紀末の大量絶滅では生物の約50%(属)が絶滅(科単位では12%)した、とされています。サンゴ、三葉虫、腕足動物、海綿など、暖かい海にすむ生物が激減しています。
オルドビス紀末の大量絶滅の原因は分かっていませんが、オルドビス紀初期には回流する事がなかった南極の氷河周辺の冷たい水が、大陸移動によって回流するようになったため、急激に寒冷化したのが原因ではないか、という説があります。

古生代・シルル紀
古生代の3番目に古い時代、約4億4340万年前~約4億1920万年前の約2420万年間がシルル紀です。シルル紀の名前の由来は、地層が調査されたイングランドに住んでいた部族「シルル族」に由来して、シルル紀と呼ばれます。古生代の中ではもっとも期間の短い時代ですが、植物が陸に進出するという大イベントが起こった時代です。アゴを持つ魚、淡水性の魚が現れたのもシルル紀です。
オルドビス紀よりもさらに暖かく、南極の氷河も無くなりました。シルル紀になるまで陸上に生物はいませんでしたが、コケやシダの仲間が初めて陸上に進出しました。
植物が上陸するよりも前の時代に、すでに節足動物が陸にすんでいた、という説もあります。上陸した、といっても植物も動物もそれほど陸生は強くなかったようで、水辺から離れることはできませんでした。
カブトガニの最初の仲間が現れたのはオルドビス紀ですが、シルル紀には現生種と変わらない姿
海水にしかいなかった魚類のうち、淡水にすむ魚類が現れたのもシルル紀

古生代・デボン紀
古生代の4番目に古い時代、約4億1920万年前~約3億5890万年前の約6030万年間がデボン紀です。デボン紀の名前の由来は、イギリス南部のデボン州にデボン紀の地層があるので、デボン紀と呼ばれます。
デボン紀は、別名「魚の時代」とも呼ばれ、強力なアゴを持つようになった魚類が脊椎動物として始めて生態系の頂点に立ちました。デボン紀後期には、4本足を持つ脊椎動物『両生類(りょうせいるい)』が現れます。
シルル紀に引き続き温暖で、内陸まで海が入り込むほど海水面が高く(海が広がった)なった時代です。
水中では、板皮魚類(ばんぴぎょるい:かっちゅう魚)、棘魚類(きょくぎょるい;トゲを持つ魚)、軟骨魚類(なんこつぎょ:サメ、エイの仲間)、肉鰭類(にくきるい:肺魚、シーラカンスなど)が現れました。強力なアゴを持つようになった魚類は脊椎動物として始めて生態系の頂点に立ちます。
淡水域にすむシーラカンスや肺魚のような肉質のヒレを持つ魚類(肉鰭類:にくきるい)から、脊椎動物で初めて4本足を持つ生物「両生類(りょうせいるい)」が現れました。
なぜヒレを持つ魚が4本足を持つようになったのか諸説ありますが、この時代に森林を作っていたシダ植物が原因ではないか
デボン紀末、「デボン紀末の大量絶滅」により、生物の約14%(属)が絶滅(科単位では14%)した、とされています。ダンクルオステウスなどの板皮魚類、三葉虫、サンゴ、筆石、海綿などが激減しました。デボン紀末の大量絶滅の原因はわかっていません。
酸素濃度が高くなり森林火災が多発したため、とか、当時まだ腐敗菌の活動が活発ではなかったにもかかわらず、シダの大森林が大量の枝葉を落としたため、浅瀬にすむ生物のすみかが無くなったから、などという説があります。

古生代・石炭紀
古生代の5番目に古い時代、約3億5890万年前~約2億9829万年前の約6061万年間が石炭紀(せきたんき)です。
石炭紀の名前の由来は、枯れた植物が堆積して地中の地熱や圧力で化学変化したものが石炭なのですが、採掘される石炭の多くが石炭紀に堆積した植物によるものなので、この時代を石炭紀と呼びます。(日本で採れる石炭の多くは、古生代ではなく新生代の植物によるものです。)
石炭紀には陸地が赤道付近に集まり始め、暖かい地域にはシダ植物の大森林ができました。
シダ植物の大森林は酸素濃度を高めたため、この時代から酸素濃度は徐々に高くなっていきます。高い酸素濃度により節足動物(昆虫類)は巨大化することができ、有害な紫外線をカットするオゾン層(酸素の同位体)が厚くなったため、両生類の上陸を後押しした、と言われています。
水中に卵を産むために水辺から離れられない両生類から、殻に包まれた卵を産む仲間(有羊膜類:ゆうようまくるい)、爬虫類と単弓類(たんきゅうるい)が現れました。
有羊膜類とは、胚(はい:受精から産まれるまでの赤ちゃんのこと)が羊膜(ようまく:胚を守る薄い膜、卵の薄皮も羊膜)に包まれている生物グループで、爬虫類、単弓類、哺乳類、鳥類が有羊膜類です。
石炭紀末期頃から大型の単弓類が現れます。
海では、デボン紀に絶滅した板皮魚類(ばんぴぎょるい)に取って代わり、サメの仲間(軟骨魚類:なんこつぎょるい)が大繁栄を始めます。

古生代・ペルム紀
古生代の最後の時代、約2億9829万年前~約2億5200万年前の約4629万年間がペルム紀です。
ペルム紀の名前の由来は、ペルム紀の地層が露出するロシアのウラル山脈にあったペルミア王国にちなんで、ペルム紀と呼ばれます。ペルム紀は、中生代三畳紀のひとつ前の時代という意味で「二畳紀(にじょうき)」と呼ばれていましたが、現在は使われていません。ペルム紀には全ての陸地が一箇所に集まり、「超大陸パンゲア」と呼ばれる一続きの大陸ができました。
ペルム紀には、石炭紀に大森林を作っていたシダ植物は衰退し、代わりに裸子植物(らししょくぶつ)が森林を作るように変化していきました。石炭紀からの植物がせっせと放出した酸素は、ペルム紀になると大気中の酸素濃度が30%と、史上最も高くなりました。(現在の大気中の酸素濃度は21%です。)
ペルム紀には単弓類(たんきゅうるい:哺乳類の祖先)が大繁栄します。単弓類は以前、爬虫類の中の1グループとされていたため、「哺乳類型爬虫類(ほにゅうるいがたはちゅうるい)」と呼ばれていました。現在では、単弓類の祖先は爬虫類ではなく両生類であることが分かり、「哺乳類型爬虫類」という呼び名は使われなくなっています。
ペルム紀の単弓類のうち、上記の「盤竜類」よりも進化的な「獣弓類(じゅうきゅうるい)」と呼ばれるグループが哺乳類の祖先につながる系統です。たくさんの単弓類がいましたが、ペルム紀末までにほとんどが絶滅してしまいます。
ペルム紀末期、史上最大規模の大量絶滅「ペルム紀末の大量絶滅」が発生しました。地球上の全生物の約65%の種類(属)(科では52%)が絶滅し、海にすんでいた無脊椎動物にいたっては、98%の種類(属)が絶滅。
大量絶滅は、恐竜が絶滅した中生代の「白亜紀末の大量絶滅」が最も有名ですが、白亜紀末の大量絶滅で絶滅したのは、約45%(属)の生物です。「ペルム紀末の大量絶滅」は約700万年の間隔をあけて2度起こったと考えられています。起こった理由ははっきりしていません。 ペルム紀後期には、地球規模で数万年に渡って火山活動が活発になり(シベリアで史上最大規模の大噴火が起こったことが分かっている)、ペルム紀末期には火山活動による温暖化で急激に気温が上昇し続けたことで、激減した生物にさらに追い討ちをかけたため、史上最大の大量絶滅となったのではないか、とされています。
「ペルム紀末の大量絶滅」によって、三葉虫とフズリナが全滅、単弓類もたった1目3亜目(獣弓目キノドン亜目、獣弓目ディキノドン亜目、獣弓目テロケファルス亜目)しか生き残ることができませんでした。




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